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ふしぎなミステリー小説:花の下にて春死なむ

仲良くしていただいてるおじさま(ヘンな関係じゃないですよ)から、お勧めいただいた北森鴻さんの『花の下にて春死なむ』を読みました。


花の下にて春死なむ
花の下にて春死なむ
posted with amazlet on 06.04.14
北森 鴻
講談社 (2001/12)
売り上げランキング: 12,195
おすすめ度の平均: 4.43
5 秋の夜長にワインとともに
4 面白くて美味しい。
5 こんな店の常連になりたい

第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門受賞作品。全部で6本が収録された連作ミステリーです。
「香菜里屋(かなりや)」というビアバーのマスター、工藤とそこに集まるミステリー好きな常連さんの会話だけで描くミステリー作品なんだけど、普通のミステリー小説だと、人が殺されて犯人探しが始まって最後に意外な真犯人が判明して・・・ていうのが王道だけど、この作品は結論がないんです。

結論がないっていうと語弊があるかもしれません。ない、っていうよりも、その結論もただの工藤の「想像」でしかないんです。真実までは突き止めない。現場にも足を運ばない。犯人も追わない。すべては香菜里屋の中だけのお話なのです。
安楽椅子探偵モノって言ってしまえばそれまでなのかもしれないけど、ね。
工藤が作る料理が、ともすると単調になってしまいがちなストーリーに、なんともいえない深みというか味わいを与えてくれます。
設定は柴田よしきさんの『ふたたびの虹』に似てるけど、こっちのほうがちょっと重め。逆にふたたびの虹のほうはさわやかな風というイメージ。


難をいえば、人物描写があいまいなことがあって、うまく描き分けられてないから、同じ場面で4人くらい集まって会話してるような場面とかあると、誰が話してるかわかりにくくなることがあったです。
あと、謎解きが理屈っぽすぎるっていうか、ウンチクが多すぎるっていうように感じました。悪く言うと強引?
表題作の「花の下にて春死なむ」は草魚とそのとなりの女性の殺害事件との関係がよくわかんなくて4回も読み直しちゃいました。
今、同じ北森さんの『メイン・ディッシュ』を読んでますけど、強引さとかの印象は変わんないです。


生きていくことの悲哀とか、情けとか、愛情とか、ありがちなテーマではあるんだけど、逆に言っちゃうと、そんなありふれた、手垢がついてしまってるような題材を丁寧に描いてることがとても新鮮で、ちょっと得した気分になります。
寝る前に1本、6日間楽しめる逸品です。

ちょっと甘いかもしんないけど、心にしみた分、★★★★☆。