北森 鴻
祥伝社 (2003/06)
売り上げランキング: 53,326おすすめ度の平均:人間くささが魅力
うどん一丁
デパートの屋上にある立ち食いうどん屋さんやなんておいしいわけがない。なのに行列ができるうどん屋さんがデパートの屋上にある。そこで腕を振るうのはさくら婆ァ。彼女と自称興行師のヤクザの杜田、高校生のタクの三人が、その屋上で起きる数々の事件を解き明かす連作短編小説です。
物語は屋上にある施設-------ベンチとかゲーム機とか-------が、語られて展開していきます。同じ北森さんの「花の下にて春死なむ」「メイン・ディッシュ」のような、いわゆる安楽椅子探偵モノです。さくら婆ァはカウンターでにらみを効かせて、ガラの悪い口調でいろいろ言うだけで、実際は杜田が子分や黒社会のネットワークを使って手に入れた情報で謎を解いていきます。
連作短編としては北森さんの得意分野なので、ミステリーとしての落としどころもちゃんと用意してあるし、構成も巧み。
でもやっぱり「花の下にて春死なむ」「メイン・ディッシュ」にも見られるような強引さとか不自然さがどうしても気になる話が二、三あるのが残念かなぁ。そんなの簡単に気づかないよとか、ちょっとありえなくない?って思っちゃうのよね。
だから評価は★★★☆☆まで。
あたしは普段、うどんは食べないんだけど、読むと食べたくなることは間違いない。実際、北森さんはデパートの屋上にあるとってもおいしいうどん屋さんをご存知なんだそうです。池袋のパルコの上といううわさを聞いたけど、行ってみようかな。