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ユーモラスなホラーはいかがですか?:押入れのちよ

押入れのちよ
押入れのちよ
posted with amazlet on 06.06.11
荻原 浩
新潮社 (2006/05/19)

荻原浩さんの新作、『押入れのちよ』を早速読んでみました。
収められている話は全部で9篇。
「お母様のロシアのスープ」「コール」「押入れのちよ」「老猫」「殺意のレシピ」「介護の鬼」「予期せぬ訪問者」「木下闇」「しんちゃんの自転車」。
全部がホラー作品。荻原さんらしくユーモラスなお話もあれば、本気で怖いお話もあって、バラエティにあふれています。「老猫」「介護の鬼」は怖い・・・というか不気味。一方で「コール」「しんちゃんの自転車」はほんのり心が温まるお話ですし、「殺意のレシピ」はユーモア全快の荻原ワールド。一作目の「お母様のロシアのスープ」は、<<お、これまでの荻原作品とはちょっと違うね、これは心してかからなくちゃ>>って読者に覚悟をさせるようなお話なので導入としては効果的。


一番楽しかったのはやっぱり表題にもなってる「押入れのちよ」です。主人公の恵太がお金に困って引っ越した先は、家賃の安いお得物件。
安いのにはそれなりの理由があったわけで、やっぱりというべきか、その部屋には余計なものがついてきました。それは「ちよ」という14歳の女の子の幽霊。恵太は最初ちよのことを怖がるけど、そのうち、ちよが経験してきたつらい過去を知って、心を通わせるようになります。明治生まれの幽霊と現代っ子の不思議な関係がいつもの荻原節で楽しく綴られています。


評価は★4つに限りなく近い★★★☆☆。ホラーが苦手なあたしなのでこれがせいいっぱい。一冊としてみるとまとまりがないって言えばないんだけど、荻原さんのチャレンジ的な最初のホラーの作品集としては、悪くないって思う。