恩田 陸
角川書店 (2004/01)
売り上げランキング: 9,563おすすめ度の平均:力技!
何か 読みたいけど 何かない? という時に
映像化不可能な作品(多分・・・)
ひとことで言っちゃうと、パニックコメディ小説。
どうやらこの作品も、『ねじの回転−February moment』と同様、恩田陸さんの普通の作風ではないようです。
登場する主要人物は27人と一匹。これ以外にも登場人物がいるので、全部あわせると100人近く登場します。この27人と一匹はみんながみんな関係があるわけじゃなく4〜5グループに分かれてて、それぞれ勝手に行動してるのですが、彼らは東京駅の丸の内側へ偶然集まってきます。そして無関係の集団や個人が偶然、東京駅ですれ違う瞬間、タイトルどおり「ドミノ倒し」のように加速度的に事件が起きて、「どらや」の紙袋を巡って東京駅が大パニックに陥るのです。
この27人と一匹について、物語の冒頭で登場人物の紹介が書かれているので、しばしばそれを確認する作業が必要となりますが、物語が進んでいくともう確認しなくてもいいくらい、描き分けがしっかりしてます。
テレビドラマのカット割りのように、細かく分けられたプロットが同時進行していくのですが、これがとても小気味よくて読者を飽きさせないし、スピード感も失わせなません。
ただ、フィリップのペットのダリオは、最初からペットだってわかってしまってるので、最後の結果が途中から読めちゃうのが残念かも。
さっきは「偶然」って書いたんだけど、きっと世の中には偶然なんてのはなくて、すべては必然の結果なのかなぁって思いました。
たとえば満員電車の中で隣に立ってるひとだって、隣り合わせたことはそれは偶然ではなくて、お互いにそこに立っているのには何らかの理由があって、そういう必然が組み合わさって世の中が動いてるってるんだっていうのをあらためて考えてしまいました。
そう、きっと偶然っていうのは必然の結果なんです。
評価は★★★★★!
『ねじの回転−February moment』ではがっかりさせられましたが、これはとてもおもしろかった。