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自分を赦すということは・・・:天使の梯子

天使の卵―エンジェルス・エッグ』の10年後のお話です。単純に続編かと思えばそうじゃなくて、でも続編っていう欲張りな・・・悪く言うと中途半端な作品でした。

天使の梯子
天使の梯子
posted with amazlet on 06.11.02
村山 由佳
集英社
売り上げランキング: 10,923
おすすめ度の平均: 4.29
5 静かな涙が滲んでくる作品!
5 2冊で1冊の本なのでは?
5 最後に涙が滲む作品!


育ててくれた祖父母を亡くした慎一と、彼の教え子だった慎一の透き通るようなステキな恋のお話なのですが、この夏姫は『天使の卵』で亡くなった春妃の妹、つまり歩太の元の恋人だったあの夏姫です。夏姫は自分の姉と同じようにずっと年下の男性に恋をすることに怯え、姉にひどいことを言った直後に姉がそのまま死んでしまったことを自分の罪として自分を責め続けている。もちろん心の中には恋愛対象としてではないけど、贖罪の対象としてまだ歩太が心の中で大きい場所を占めている。
慎一は小さい頃に両親が離婚してずっと祖父母に育てられているという複雑な境遇で、どことなく冷めた青年。この二人は触れるとすぐに壊れてしまいそうな微妙なバランスの上に咲いた愛を大事に育てていくのです。


しかしその愛が大事になればなるほど、夏姫の心の中にある「何か」が気にするようになっていくのです。そして慎一は携帯電話のメールの履歴を見てそれが歩太であることを知ってしまうのです。居ても立ってもいられなくなった慎一は歩太に会いに行きます。そして慎一は夏姫の心の中に居座る重く暗い過去を知るのですが・・・。


テーマは「どうやってひとは赦されるのか」ということだと思いました。誰かを傷つけたり裏切ったり、キモチと反対の態度を取ってしまったり、相手のためを思って心にもないことを言わなくちゃいけなっかり。それがもう取り返しがきかなくなっちゃったとき、ひとは自分を責め続けるのでしょう。決して果たされることのない赦しを求めて。でも結局自分を赦すのは自分自身しかいないっていうことを言いたかったんだって思いました。


残念なのは、さっきも言ったように、前半は慎一と夏姫のピュアな恋愛物語なのですが、後半は「天使の卵」の想い出話になってしまうのです。せっかくいいお話だったのに、途中から主人公たちの影が薄くなっちゃって、物語全体がぼけてしまって中途半端になってしまったのがとっても残念でなりません。途中からずっと歩太がしゃべりっぱなしで、あんなに歩太に語らせるんじゃなくって、夏姫と慎一との間で解決させてあげたかったし、こういう展開になっちゃうと、前作を読んでないとサッパリわかんないんじゃないかなって思いました。
だから厳しいけど★★★☆☆までとします。


新作として、『天使の卵』と『天使の梯子』をつなぐ夏姫の青春時代を夏姫自身が語る短編集『ヘヴンリー・ブルー』が発売されていますが、これをすぐに買うかどうか迷っているところです。