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バブル世代への応援歌:オレたちバブル入行組

オレたちバブル入行組
池井戸 潤
文藝春秋 (2004/12/10)
売り上げランキング: 242486
おすすめ度の平均: 4.0
5 銀行で出世するのは大変だ。
4 気持ちよく読める銀行小説
4 夢を持ち続けることが難しい


日本人だけじゃないかもしれないけど、日本人はやたらと人間にラベルを貼りたがる。例えば「団塊の世代」「ベビーブーマー」「新人類」「団塊ジュニア」「全共闘世代」とか、決して肯定的な意味じゃないのもあります。その最たるものが「バブル世代」なのではないでしょうか。あたしもバブル入社組。バブル入社組はすぐに悪く言われることが多いけど、別にあたしたちが悪いわけじゃない。だってバブルに踊っていたわけじゃないし、そもそもバブルを演出したわけでもない。景気がいいからってロクな選考もしないで青田買いで大量採用をして、湯水のようにお金を使った企業側がバカなだけ。それなのにあたしたちがレベルが低いみたいに「バブル組」って括られるのはたまったもんじゃない。


この本の主人公の半沢直樹もバブル世代。青田買い、そして拘束旅行・・・というお決まりのパターンを経て、大手都市銀行に入行。いっぱいいる同期と将来の夢を語ったりしてみたものの、バブルが弾けて不良債権が社会問題化し、バブルのころには押し付けるように貸付をしていた銀行が、貸付を渋るようになっていきます。半沢は大阪の船場をテリトリーにする支店の融資課長。
半沢は支店長の浅野から西大阪スチールという会社への融資話を押し付けられます。支店長は融資予約をしてしまったようで、ろくに融資審査をする時間も与えられないで、5億円の融資の稟議書の作成を余儀なくされるのです。その後、決算書に粉飾を見つけるのですが、そうこうしている間に不渡りを出して西日本スチールは倒産してしまいます。
支店長の浅野はその責任を半沢に押し付けようとします。そして本店の人事部を動かして半沢ひとりに責任を取らせて出向させようと画策するのです。半沢は浅野に近い人間たちからのいやがらせに耐えながら、銀行という窮屈な組織の中で必死な抵抗をします。しかし銀行の幹部を黙らせるにはやはり5億円の回収しかありません。半沢は行内に残されれたわずかな手がかりから、西日本スチールの社長・東田の行方を追いかけます。半沢の同期と、西日本スチールと連鎖倒産をした社長の竹下と手を組んで、徐々に東田を追い込んでいきます。そして半沢は東田の影で暗躍していた悪意の存在に気づくのでした。
さて半沢はこの危機的状況を打ち破ることができるのでしょうか・・・。


と、こんなお話なのですけど、難しい銀行用語もわかりやすく描かれていますし、ストーリーは勧善懲悪のとてもわかりやすいお話で、スカッとさせてくれます。
お堅い銀行マンとは全然違う半沢の性格もいいし、その好対照としてあらわれる幹部のオヤジたちの性格がとてもいやらしいんです。ここまでデフォルメされちゃうと、リアリティはほとんど感じないんですけど、わかりやすいエンターテイメントとして純粋に楽しめちゃいました。
ミステリーとしての完成度も高いし、一気に読了してしまいました。


バブル組だからってバカにしないでよね。でもちょっと後ろめたく感じてしまうそんなレッテルを貼られたあたしたちへの“応援歌”。この本はエールを送ってくれてる気がします。
評価は満点の★★★★★とさせていただきます。