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銀行ミステリー第一人者のデビュー作:果つる底なき

果つる底なき
果つる底なき
posted with amazlet on 07.05.08
池井戸 潤
講談社 (2001/06)
売り上げランキング: 130950
おすすめ度の平均: 4.0
3 銀行以外の部分の魅力に乏しい
4 金融ハードボイルド(?)
3 殺人が多すぎ?


銀行ミステリー小説の池井戸潤さんが世に出るきっかけとなった江戸川乱歩賞受賞作です。この回は福井晴敏さんの『Twelve Y.O.』との二作品が受賞しており、どちらも大好きな作家さんなので、とても楽しみです。
でもどうしてこの『果つる底なき』を読み始めるのがここまで遅くなったかというと、銀行と殺人事件っていうのが、あたしの中でつながらなったっていうか、関連付けるストーリーってムリがあるんじゃないかって思ってて、なんとなく避けてたんです。


どんなお話かというと、主人公の伊木は二都銀行渋谷支店の融資課の課長代理。ある日、同じ支店の債権回収担当で、同期入行の坂本が、蜂に刺されてのショック死を遂げてしまうのです。亡くなる直前、伊木は坂本から「これは貸しだからな」という不可解な言葉をかけられています。
坂本の死亡後、彼の業務を一時的に引き継いだ伊木は、自分が手がけた融資先で倒産した会社が引き受けた手形は実は融通手形だったことがわかり、それを見抜けなかったことにショックを受けます。そしてこの融通手形の背後に何かがあると感じた伊木は、坂本のため、(かつて伊木自身の恋人であった)坂本の妻のため、そしてなにより自分自身のために、不可解な資金の流れの解明に動き出すのですが、それを妨害するように第二の殺人事件が置き、そして伊木自身も何者かに命を狙われることになります。すべてを知ることになったとき、銀行の、そして巨大企業の抱える暗闇が暴かれることになるのでした。


というストーリーです。難しい金融用語もわかりやすく、でも解説口調にならないようにちゃんと説明されるし、複雑な資金の流れも上手な構成により、読者は混乱させられることなく読み進めることができます。そして銀行の内部情報や組織の中での派閥の対立とか出世コースのサバイバル競争の様子など、わかりやすく丁寧に書かれていて、クオリティーはとても高いものになっています。
ただ、あえて苦言をいうなら、多くの江戸川乱歩賞にありがちな「最後のネタあかしが長セリフで延々と説明」という形式になっているのがとても残念でしたし、そのネタあかしが担当刑事から伊木へっていうのが現実はありえない(捜査上の秘密を事件当事者に警察が語ることはないので)です。
また坂本の妻が元恋人である必要性も、事件を調査するきっかけになったとはいえ、それ以降の展開にぜんぜん絡んでこなかったのはちょっともったいなかったかなって思いました。
あと、ネタバレになっちゃうけど、オーナー社長ならまだしも、商社の社員がそこまでする?????っていうのも不満かな。
ただ、こうした不満も、重箱の隅というか、意地悪な見方をすればっていう程度なので、全体的な完成度は高いし、リーダビリティも満点に近いと思います。


というわけで評価は★★★★☆星4つです!
最後にひとこと付け加えると、二都=三菱っていうのもちょっとわかりやすすぎて、三菱商事三菱銀行の人が読んだら怒るんじゃないかってちょっとひやひや(^^; それもそのはず、池井戸さんは当時、三菱銀行の行員だったんですよね。