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リストラする側、される側:君たちに明日はない

君たちに明日はない
君たちに明日はない
posted with amazlet on 07.05.18
垣根 涼介
新潮社 (2005/04/01)
売り上げランキング: 131619
おすすめ度の平均: 4.0
4 作者の書く魅力的なキャラクターの集結
5 意気地ある登場人物
3 重いテーマながら、キャラで読ませる、泣き笑いストーリー


これも古本屋さんで偶然見つけた本です。
企業側からリストラを請け負う「日本ヒューマンリアクト」の社員・村上真介が、企業に乗り込んで、人事部に成り代わってリストラ候補の社員と面接していくお話。全部で5編の連作短編集です。
面接って言っても、社員に自主退職を説得するのだけど、「窓のない個室に一日中閉じ込めて、私は無能な社員です、みたいなことを書かせる」というものではなくって、ちゃんとリストラ対象になっていることと客観的な状況を説明します。
登場する企業は建材メーカー、玩具メーカー、メガバンク、コンパニオン派遣会社、音楽プロダクション。登場する企業や社員はさまざまですが、誰しもいきなり退職を要求されるのですからたまったもんじゃなく、悲喜こもごもが繰り広げられていきます。
ともすると暗くなりがちなお話なのですが、主人公・村上真介の女好き&明るいキャラクターと、「いじめ」ではないリストラ勧告、感情豊かなリストラ対象者、そしてウイットにとんだ文章とあいまって、いい意味での軽さがあり、スラスラとページをめくる手が進んでいきます。


バブル崩壊とともに、終身雇用制という日本の雇用慣行が見事に崩れ、社員は文字通り歯車の一部として、必要がなくなったら簡単に切り捨てられるような時代になりました。そして不足する部分は中途採用と派遣社員で穴埋めされるという、とてもドライな雇用関係が今の日本を支配しています。
その一方で企業側は従業員に対して一方的な忠誠をささげるよう要求するのです。雇用する側が圧倒的に強い、とても理不尽な雇用形態が今の日本の好景気を支えているといっても過言ではないと思います。
勝ち組とそれ以外の格差がとんでもなく大きくなり(ある意味、バブル期より深刻だと思います)、一度転んだら二度と立ち上がれないような冷たい社会が今の日本。
切る側の論理だけが横行する今の日本ですが、切られる側にだって生活があり、感情があり、守るべき存在がある。そんな当たり前のことを当たり前に書いたこの本の中で、リストラ請負人の真介が100%シビアになれずについ普通の人間として接してしまうところが、この本の救いになっているのではないでしょうか。


久しぶりの一気読みでした。
評価は★★★★☆。終わり方がちょっと中途半端。ぜひ続編を読んでみたい、そんな期待と欲求不満を抱かせる、いい意味での星4つです。