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金融ミステリー+冒険小説は最高のエンタメ!:最終退行

最終退行
最終退行
posted with amazlet on 07.06.02
池井戸 潤
小学館 (2004/01)
売り上げランキング: 338272
おすすめ度の平均: 3.5
4 M資金詐欺を題材にした面白いストーリー
3 思っていたよりも軽い内容で読み易い
5 銀行員の生活を知りたい人にもおすすめ


池井戸潤さんの『最終退行』を読みました。読んだのは最近発売された文庫本じゃなく、単行本のほうです。
実はこの作品、大藪春彦賞の候補になりながら、ストーリーと関係がない一部の記述に事実と食い違う場面があり、大藪春彦賞を逃しているのですが、その部分を訂正されて文庫本が発売されています。でもあたしは文庫本が出る前に単行本を買ってしまっていたし、どうせ読むならオリジナルで・・・っていう負け惜しみを抱きながら読み始めたのです。


冒頭、いきなり「M資金」にかかわる調査報告書から始まります。M資金とは旧帝国陸軍が終戦間際に軍の再興のために東京湾に沈めたという金銀財宝のことで、このM資金をめぐる詐欺事件が多く語られています。
この物語はM資金のうわさを下敷きにして、不良債権にあえぐ巨大銀行の副支店長が銀行マンとしてより人間として正しい行動をしようとする男と、トレジャーハンターたちの冒険劇です。
主人公は東京第一銀行羽田支店の副支店長・蓮沼。支店長の谷からの嫌がらせに耐えながら、赤字にあえぐ羽田界隈の中小企業への融資を担当しています。そうした折、とある融資先に対する「貸し剥がし」のために起きた事件で、谷から全責任を押し付けられてしまいます。巨大ゼネコンに対しては2000億円の巨額な債権放棄をする一方でわずか数億円の貸し剥がしをする銀行の体質に大きな疑問を持った蓮沼は、債権放棄の裏側にあった裏金の存在に気づき、人間として誇り高く生きるために、巨額の不良債権を作りながら一切責任を取らずに私服を肥やす会長の久遠との差し違えを考えます。
一方、塔山という男が登場します。この男は蓮沼から長崎への出向を言い渡されたのですが、その事例を破り捨てて退職してしまうのですが、彼は小さな水質調査会社に身を置くことになります。この会社、表向きは水質調査を生業としていますが、本業は宝探し。彼らはトレジャーハンターとしてM資金を探し出そうとしているのですが、そんな彼らにM資金の発掘の以来が舞い込みます。依頼元は久遠の筋。
蓮沼と塔山。この二人の行動が並行して綴られていきますが、やがて両者は再び交わることになるのです。M資金をめぐるそれぞれの思惑と、巨大銀行内に渦巻く悪意に挑む蓮沼。
まったく別々の舞台で進められるストーリーがいったいどんな風に交差していくのか、まったく予想もつかない展開が待っていました。



金融ミステリーと冒険小説が巧みに融合された完成度の高いエンターテイメント小説に仕上がっています。読後感もよく、男たちのかっこいい生き方に感服させられました。
「最終退行」とは、銀行を最後に出ること。激務に追われる蓮沼はいつも最後に帰るのでこういうタイトルになっているのでしょうけど、正直言ってタイトルからあんまり期待していませんでした。でもこのタイトルから想像できないほどのエンタメ小説でした。
綿密に練られた伏線が見事に最後に収れんされていき、後半に一気にお話が盛り上がっていきます。こうなるともうページをめくる手が止まらなくなります。最後はミスタードーナツにこもって一気に読み終わらせてしまいました(笑)。
ミステリー+冒険小説っていうパターンはいっぱいあるけど、それを銀行という題材でやってしまうなんてほんとビックリです。


評価は★★★★★文句なく満点!