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普通の恋愛小説、のはずが:イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ
乾 くるみ
文藝春秋 (2007/04)
売り上げランキング: 32958
おすすめ度の平均: 3.0
3 恋愛小説としては平凡
1 たしかにトリックとしては並以下。
4 ラスト2行でひっくりかえす


何気なく買ったこの本。帯に「必ず二回読みたくなる小説」って書いてあって、裏表紙に「最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する」っていうのを読んで、購入してしまったのです。


静岡の街で展開される主人公の”たっくん”と”マユ”の恋愛小説。合コンで知り合って恋に落ちて・・・・っていうだけ。そのお話自体もピュアで悪いものじゃなかったんですけど、平凡な恋愛小説って感じでした。後半(B面)になると”たっくん”は修飾の派遣のために上京して遠距離恋愛になってしまうのです。予想通りたっくんは同僚の美弥子に惹かれはじめて、マユの妊娠が判り・・・赤ちゃんを堕ろして・・・・結局マユとはダメになってたっくんは美弥子と付き合うようになって・・・。
そんな感じで「フツーの恋愛小説」だったのです。最後の2ページ目までは。最後の2ページ目で「あれれれ????」って感じになって、裏表紙に書いてあったラスト2行目になっても意味がすぐにわかんなくって。
結局、巻末の「イニシエーション・ラブを理解するための用語辞典」を見ながら、あらためて本文を読み返して、ようやく理解することができたのです。さすがに二度読みはしなかったけど、パラパラとあらためて確認してみると、<あ、確かにそうなってるわ! あ、ここもだ>みたいな感じの驚きの連続、そしてパズルの各ピースがぴったりと一致した妙な満足感・スッキリ感を得ることができました。


簡単に言うと(ネタバレここから)時間軸をひっくり返した叙述トリック(ネタバレここまで)。
一見平凡な恋愛小説だけど、実は綿密に練りに練られた完成度の高い叙述トリックが隠されている、恐ろしい作品だったのです(ちょっと大げさかも)。
すべてがわかってから思い返すと、このマユって子、めちゃくちゃしたたかなんだよねぇ。でもたっくんとマユがちゃんと幸せになってくれれば、それはそれでうれしい。「女は怖い」っていう感想が多いけど、いえいえ、そんなもんです。


評価は★★★★★の満点!
完全にだまされました。お見事!