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[]シャイロック[]の子供たち

シャイロックの子供たち
池井戸 潤
文藝春秋 (2006/01)
売り上げランキング: 96624
おすすめ度の平均: 4.5
5 池井戸潤の銀行もの以外が読みたい!
4 中盤からぐっとミステリー?
4 いまいちスッキリしない…


メガバンクの下町の支店内でのさまざまな出来事を取り上げた連作短編ミステリーです。
前半は単なる銀行内の出来事の連作短編だったのですが、書き下ろしの後半から一気にミステリー色が強くなります。ある日、現金百万円が一致しない事件が起きて、それを支店内で隠蔽するのですが、そのことが殺人事件に発展していくのです。
他の池井戸さんの銀行ミステリーと同様、登場する人物が個性豊かで、出世欲が強く乙採用というコンプレックスの塊になっている副支店長、生意気な若手行員、行内恋愛をする女性行員、厳しいノルマ達成のために心を壊してしまう中堅行員・・・・。
池井戸先生の銀行ミステリーを読んで感じるのは、どうしてみんな銀行員であることにそんなに必死なのか?っていうのが、銀行員でないあたしにはちょっと想像できないんです。それが読み手に伝わらないんですよね。言い方は悪いけどとても滑稽に映ってしまうんです。
ネタバレになってしまうので書きませんが、今回の事件も、たかだかその程度のことで殺人まで起こすかなぁっていう動機だったので、今回の作品は特にそんな印象を持ってしまいました。
ちなみに「シャイロック」とは、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」に登場する人物で、悪辣、非道、強欲なユダヤ人の高利貸しのことです。


評価は★★★☆☆。ちょっと厳しめだけど、他の作品がもっとレベルが高いので、相対的にこんな評価になってしまいました。
後半から強引にミステリーにしたっていうかんじだったけど、個人的には最後まで銀行の日常を切り取った連作短編で通したほうがよかったような気がします。