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隣の芝:永遠の途中

永遠の途中 (光文社文庫 ゆ 3-3)
唯川 恵
光文社 (2007/08)
売り上げランキング: 671
おすすめ度の平均: 4.0
4 家庭か仕事か、女の永遠の宿題。


久しぶりの唯川恵さんの作品です。
主人公は2人の女性。薫と乃梨子は広告代理店に勤める同期入社どおし。薫は社内恋愛して結婚し、乃梨子は薫に好きな人を奪われた格好になりそのまま独身のまま仕事をし続けることになります。結婚か仕事か―――――まったく違う選択をした2人の27歳から60歳までの人生を平行して描いていきます。
違う選択をした2人の女の勝負、どっちが幸せになれるのか・・・・そんなお話なのですが、結論はぜんぜん違うところにありました。
2人の間に漂う嫉妬と羨望、劣等感と優越感を対比しながら、結局ライバルは自分ではなく、自分が勝手にイメージするもうひとりの自分だということに気づいたとき、2人の、そしてそれぞれの勝負はノーサイドになるのでした。


あたしは自分自身が大嫌い。かといって誰かの人生に憧れたりはしない。だって自分は自分だから。あと、あの時こっちを選択しておけばよかったっていう後悔もまったくしない。だってその時はBESTだって思える方を選択してる自信はあるから。
でもきっと多くの人間は、他人をうらやましがったり、時には妬んだり、自分の選択に後悔をしたり、自分のツキのなさに嘆く。それは当然だと思うし、そういう人間の欲求があるからこそ、人間はこれだけの発展をしてきたのだから。
でも考えてみると、自分がうらやましいと思う人と入れ替わったからといって、同じように生きられるはずはないのだし、もし仮に同じような人生をトレースできたとして、果たして幸せと感じるかどうかはわからない。幸せだと思うことは十人十色だし、そもそも他人がすべてを周りにひけらかしているわけではない。陰で苦労をし、涙を流し、でもそれを見せないだけ。それが見えないからこそ憧れてしまうのでしょう。
それに他人がうらやましいと思うときは、自分の今の幸せと思える部分はそのままで、他人のいいところだけをプラスしようって考えてしまう。それは全部人生を取り替えることにはならない。
―――――だから隣の芝は青く見える。


作品全体はいつもの唯川テイスト――――派手なキャリアガールと地味な主婦の対比。それでも他の作品に比べると、今回のこの作品では両方の苦悩も幸せもしっかり描き分けられているように思います。


評価は★★★★☆。
若い人から年配の人まで、広い世代の女性に共感いただけるお話だと思いました。