マンガに出てくる魔球なんだから矛盾してるというかありえないのは当然なんだけど、ここで書くのは、その魔球が最初の設定と最後でぜんぜん違うものになっちゃってるってこと。
星飛雄馬が編み出した大リーグボール1号っていうのは、飛雄馬がバッターのかまえるバットの動きを予測して、そこにめがけて投げてボールをバットに命中させて凡打に打ち取るという必殺の魔球です。重要なのは飛雄馬自身が予測しているという点です。
ところが最後のほうになると、ボールが勝手にバットの動きを予測してそこに行ってしまうようになるのです。
オズマが大リーグボールを打倒した方法は、一旦バットをホームベース上に停止させると、大リーグボールはホームベース上のバットめがけて勝手にど真ん中の直球になってしまいます。そのボールがホームベース上に来たときに、オズマは見えないスイングという猛スピードのバットスイングでそのボールを叩く・・・というもの。
元々の設定で言えば、飛雄馬はそのバットがどう動くかを予測してそこにめがけて投げてるんだから、これはバットがど真ん中に停止することを予測しながらそこに投げ込んだ飛雄馬がバカだってこと。
ところが物語上は、飛雄馬はボールが真ん中に行ってしまうことを避けられないんです。つまりボールが命を持っているかのように勝手にそこに行ってしまうっていうボールに、いつのまにか変質しちゃってるんです。
物語の最初は、花形がバットを身体の陰に隠そうとしたら、大リーグボールじゃなくて直球を投げるくらい、飛雄馬がちゃ〜んと能動的に狙って投げてたはずなのに・・・。
つまり、
・ | 初期の設定:飛雄馬がバットの動きを予測して命中させる魔球 |
・ | 最後の設定:飛雄馬の意志とは無関係に勝手にボールがバットにめがけて飛んでいく魔球 |
ってことになってしまってるのです*1。
打たれたからといったって、オズマにしか打てないんだから、このまま投げてればいいのに、これでマウンドを降りて二軍落ちしちゃうんだからもったいない。まあそうしないと消える魔球が誕生しないんだけど(笑)。