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破天荒な女子行員あらわる:不祥事

不祥事
不祥事
posted with amazlet on 07.05.21
池井戸 潤
実業之日本社 (2004/08)
売り上げランキング: 361050
おすすめ度の平均: 4.5
5 銀行内幕物がこんなに楽しくていいのか? 胸がすく痛快さ
4 続編希望!
4 主人公・花咲舞の存在感が光ります


銀行の店頭事務処理でトラブルが多い店舗を訪ねて指導を行なう臨店指導を担当する相馬の下に、ひとりの女性行員が配属されます。「狂咲」の異名を持つ花咲舞がこの物語の主人公。相馬と舞、ふたりのコンビが各店舗を訪れては、外から閉鎖され、世の中とはまったく違った論理が支配する巨大銀行内で行なわれる不正を暴いていく連作短編集です。


「狂咲」こと花咲舞は、間違っていると思ったことには上司だろうが誰彼かまわず食って掛かる人間。上が黒といったら白いものでも黒になってしまう銀行ではまったく異色の存在で、悪く言えばはみ出し者。そんな彼女が小さな不正に見てみぬ振りすることなく、自己保身しか考えない人間ばかりが集まっている銀行という伏魔殿の中で大活躍をするのですが、当たり前のことが当たり前のこととして通らない銀行という組織の中で、それを実現してくれるという点でとても気持ちいいはず。
上司の相馬はどっちかというと、波風を立てるのを嫌う頼りないタイプなのですが、舞の暴走をうまくコントロールする役回りとして、いいコンビネーションを見せてくれます。


ただ、読んでて物足りなかったのは、不正と呼ばれる行為が、他の池井戸作品に比べてとても小さいものばかりだったことと、舞が悪者にビンタを食らわすことを除くと、舞の行為が確かに銀行内では異例のことであっても、それが世の中の企業であればそれほどたいしたことを言ってるわけではないことかなぁ。
それと結局、舞と相馬のふたりは、企画部の真藤部長の派閥に対してばかりしか対峙してないので、結局派閥抗争に利用されているに過ぎないという印象が残ってしまったことが残念でした。
終わり方はまだまだ続編がありそうだったので、ぜひ続編に期待したいですね。


評価は★★★☆☆。期待の大きな作家さんのひとりなので、あえて厳し目の評価にさせていただきました。