momo☆彡のスタイル。II

Welcome to momo's weblog! Do not hesitate to leave your footprints on this site.

淫らな純愛:ツ、イ、ラ、ク

ツ、イ、ラ、ク
ツ、イ、ラ、ク
posted with amazlet on 07.07.03
姫野 カオルコ
角川書店 (2007/02)
売り上げランキング: 5374
おすすめ度の平均: 4.5
3 心して読んでね!
5 潔癖なエロス みだらな純情
5 緻密なディティール


満を持して購入したんです。この本。エッチなのはわかってたし。あんまり得意じゃないんですよね、エッチなのって。もちろんエロかった。でも面白かった。ただエッチをしてるんじゃない。ちゃんと必然もあり、自然だし、誇張もないし、卑下もないし。素直に入り込めるお話でした。


舞台は小さな地方都市、長命市という架空の街。主人公は森本隼子。物語は小学校二年生から始まります。小学二年生にはその歳なりの秩序があり、葛藤があり、摩擦があり、恋愛があり、嫉妬もある。その同級生が中学二年生になって性に目覚める歳になり、少女が「女」に変わろうとするとき、物語は大きくうねりだします。
隼子はふとしたきっかけから若い男性教師の河村と深い関係になります。隼子は男をひきつける何かを持っていました。隼子に溺れていく河村、セックスという行為に没頭する隼子。肉体から始まった二人の関係は、やがて恋になる。恋をしたのではなく、恋という底なしの穴に墜ちていくふたりでした。


恋はおとなのものだけじゃない。小学生のころ、好きな人はいませんでしたか? 中学生のころ、その人のことを思い出すと胸がどきどきして眠れないことはありませんでしたか? 幼いからといってその想いが浅いわけじゃない。人生経験も少なく理性で抑える術が乏しいだけに、その気持ちは純粋で、直線的で、その上残酷。
考えてみればあたしだって、そのころは頭の中はセックスのことばかりだった。ともだち同士でもそんな話ばかりしていた。ちょっと耳年増な子が仕入れてくるネタに一喜一憂してた。辞書でいやらしい単語を引いてみたりもした。
そんなこと、おとなになると忘れてしまう。そして子供=ピュアという幻想だけが植え付けられていく。この本がすごいのは、子供は天使だなんていう仮定を完膚なきまでに叩き壊し、本当の子供の姿を描ききったことでしょう。そして姫野カオルコさんの筆力が、ただの官能小説ではなく、りっぱな恋愛小説として完成させていることだと思うのです。


評価は★★★★★の満点。淫らな純愛を見事に描いたこの作品で、ぜひ中学生のころのあなたに戻ってみてください。