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シリーズ化を期待:金融探偵

金融探偵 (徳間文庫 い)
池井戸 潤
徳間書店 (2007/07/06)
売り上げランキング: 10076


大手銀行をリストラでクビになった大原次郎は、再就職を目指して職安や面接に通う合間に、銀行時代に培った知識を頼りにされて、さまざまな依頼を引き受けることになってしまうのです。最初は暇つぶしのつもりだったのだけど、なかなか仕事が決まらないなかで、ついにそちらが本職になりつつあります。次郎は殺人事件に巻き込まれたり、詐欺事件に巻き込まれたりとか散々な目にあうのですが、元銀行マンの鋭い視点で難題を解決していくのでした。


池井戸潤さんお得意の金融ミステリーの連作短編ですが、持ち込まれるお話はお金に絡んだものだけではなく、今までの池井戸金融ミステリーからやや脱皮したようなストーリーになっています。
筆者の実力が垣間見えるのは、「誰のノート?」→「家計簿の謎」と続くお話。一冊のノートに書かれている内容からその持ち主を明らかにした上で、そのノートを巡って引き起こされる事件へ展開していきます。
金融の知識を土台にしながらも、金融とはまったく違った題材に取り組んでいるのですが、その推理の組み立てが見事なのです。
それと、元銀行マンが再就職にとても苦労している様がなかなか面白いんですよね。池井戸先生が書かれてきた銀行マンの姿とはぜんぜん違う、等身大の人間が描かれているのも好感が持てます。


評価は★★★★☆。難しい金融の知識も必要なく、気軽に読める一冊だと思います。
次郎が腰を据えて金融探偵一本で身を立てていく続編をぜひ読んでみたいです。