東野 圭吾
光文社 (2007/11/20)
売り上げランキング: 342
東野圭吾さんが1999年に書き上げた作品が7年の時を経て、ようやく書籍化されました。
いわばミステリー・ホラー。おどろおどろしい描写こそないものの、読み終えて湧き上がってくる不気味さは筆舌しがたいものがあります。
謎が謎を呼び、なんとも不可解なことが次々と起こる。比較的科学的に、論理的に謎を組み立てる東野作品にあって、この作風はかなり異端。
催眠術、怨念というより、目の持つ独特のパワーというものをあらためて思い知らされた珠玉の一冊です。
その一方で、登場する人物たちの人間味というか魅力がほとんどなく、作品を貫く「人間の強い思い」「目力」をよりいっそう引き立てることに効果的でした。
評価は★★★★☆。