momo☆彡のスタイル。II

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フルオートカメラ小僧


あたしが写真を始めたのはもう20年以上前。
当時は一眼レフで撮影するのに当然知っておかなくてはならない最低限の知識っていうものがありました。でもあたしのかつての友人で、素人なのにカメラの性能に頼り切っていた子がいて、主に競馬場でサラブレッドの写真を撮っていたのだけど(他人に場所取りさせて、自分はレース直前に競馬場に行くような体たらくでしたが)、彼は何を勘違いしたのか「俺はプロを目指す」と言ってはばからなかった。


そんな彼の迷言。


白い被写体を撮影していたとき、「白いものを撮るときは速いシャッターが切れるから助かる」と。
カメラの中に装着されている反射式露出計の特性をまったく理解していらっしゃいません。きっと露出補正の使い方も知らないのでしょうね・・・。白いものをそのまま撮ったら露出アンダーになるよ。
反射式露出計は、文字通り被写体から反射される光の量を測って露出量を決定します。その反射光を露出量に置き換えるとき、18%の反射率を持つ灰色が基準にしています。これはだいたい、日本人の顔の反射率と等しいので、顔をスポット測光してあげれば、たいていうまく露出が合うのです。
しかし白いものを写す場合、反射率18%の灰色が明るく照られていると勘違いするので、露出量を必要以上に小さく(すなわちシャッタースピードを速くしたり、絞りを絞ったり)し、結果的に露出はアンダーになります。逆に黒い被写体を撮影しようとすると、反射率18%の灰色が陰に入って暗く写っていると判断して露出量を必要以上に増やそう(シャッター速度を遅く)とします。その結果、露出はオーバーになってしまうのです。
ですので、白いものをオートで写す場合は、露出補正を+1〜+2に、黒いものを写す場合は露出補正を-1〜-2してあげる必要がある。
当時の彼のカメラは、ニコンF4。レンズはニッコールの300mmF2.8。宝の持ち腐れ・・・。


あと、デジタル一眼レフ、しかもプロが使うニコンD1を、大枚はたいて購入したときのこと。彼は真顔であたしにこういいました。「デジタル一眼レフだと焦点距離が1.5倍になるので助かる」と。
はぁ〜〜〜〜????である。
焦点距離は変わらないでしょう。300mmは300mmですよ、お兄さん。センサーが小さくなる、つまり写る範囲がトリミングされているだけのことで、つまり例えば300mmレンズなら、35mmフルサイズの場合の450mmの画角に相当するだけの話。つまり300mmで撮影した35mmフィルムの画像をパソコンに取り込んでフォトショで切り出したのと同じなのですよ。パースペクティヴは300mmなら300mmのまま。当然です。


これでプロを目指そうとは片腹が痛かった。
で、彼と会わなくなってから早7年が経ち、未だに彼はアマチュアカメラマンです。そりゃそうよね。

でも、ネット上でも未だに「焦点距離が長くなる」とか書いてる記事を多く見かけるし、勘違いもここまで増えると一定の市民権を与えられてしまうのでしょうね。



いえ、オート全盛の現在、オートを否定するわけではありません。
あたしだってOM-4のときもオートを使っていたりしましたし(マルチスポットなどほとんど使わなかった)、レンズに絞りリングのないEOS55、そして今のPowerShotG7はほぼ100%オートです。でも露出補正は積極的に使っていましたよ。オートはオートで便利なのだけど、その背後でどういう論理で露出が決められているかを理解し、それを頭の中でシュミレーションしながらオート露出を使わないと、写真は失敗だらけになりますから。