荻原浩さんの連作短編集「千年樹」、8篇の物語がふたつの時系列からなり、しかもそれそれに交錯し篇がうまく絡み合っている作品です。
それぞれの短編が、人物でつながっているといえばいいのでしょうか。要領を得ないあたしは、何度も前に戻って登場人物を確認しながら読まざるを得ませんでした。
ユーモアのある荻原さんの作品ですが、おなじ著者の作品とは思えませんでした。
もちろん荻原さんの代表作「明日の記憶」も荻原さん節がない作品でしたが、この作品も普段の「荻原さん節」は見られず、作品全体のトーンは暗く、内容は重い話です。
もしこの作品を最初に手にしたひとがいたら、こういう作風が苦手だと感じて他の荻原さんの作品を敬遠してしまうかもしれません。ですから万人に勧めませんが、明るい荻原さん節に馴染んでいる方にはぜひオススメしたい作品です。
さてさて、明日からはコレを読み始めます。
