momo☆彡のスタイル。II

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『岸辺のアルバム』読了しました。

テレビドラマで、家が流されていく実際の映像、そしてドラマ内ですぐにも流されそうな家に親子4人がアルバムを持ち出そうとし、グワングワン揺れている家の中で、最後に4人が家に「ありがとう」って口々に別れを言う、あの名シーンは、この作品にはなかったです。
つまりドラマ上でしか表現できない「映像の力」がおおいに発揮された、あの緊迫したシーンは、原作小説での描写と比べると、やはり映像だけが持ち得るパワーの差を見せつけられてました。

きっと小説では、やがてあの運命の1974年9月1日を迎える一家の、家族それぞれが、苦悩を抱え、好き勝手やってる、という、「形だけの一家」が、中身がどのくらいバラバラなっていったか、というところがより際立って描かれていることからも、小説上は多摩川水害にはあまり重点をおいてないということなのかもしれません。一家の崩壊と再生の物語なんですけど、461ページ目以降のピークを迎えるはずだった結末の描写がちょっと期待外れだった気がしますね。あたしには。もっと緊迫感があればよかったのに。


さて次に読むのは、宇佐美まことさんの『愚者の毒』にします。