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新宿の匂いがしない新宿:フォー・ディア・ライフ



フォー・ディア・ライフ』です。これも柴田よしきさん。
新しい作家さんを探すのが面倒で、この続編の『フォー・ユア・プレジャー』といっしょについ買ってしまいました。

物語は、新宿二丁目で無認可保育園・にこにこ園を経営しながら、経営難をカバーするために探偵稼業に精を出す花咲慎一郎(通称、ハナちゃん)。舞台が新宿なので不法残留外国人とか、暴力団とか、ゲイとか、一筋縄ではいかない、さまざまな事情を抱えた人間が登場するんだけど、家出少女とかチンピラを探し出す調査をしているうちに、殺人事件に巻き込まれていき、最後は意外な結末が待っているっていうストーリー。
元刑事のハナちゃんは、オンナにもゲイにもモテるかなりのヤサ男らしいのだけど、とある事件をきっかけに刑事を辞めるハメになって、その傷が癒されなくて、本気で人を好きになることを恐れてるようなところがある。だから他人の痛みもわかる。そんなハナちゃんを頼って人があつまってくる。ヤクザにも一目置かれてて、微妙なバランスの上に立ってるけど、なんだかんだで信頼されてるって感じ。
周りのキャラクターも魅力いっぱい。春日組の組長はオカマみたいだし、その幹部の山内はけっこういいヤツ。保母たちはどこか頼りないけどけっこういいチームワークだし、女医の奈美は気合入ってるし・・・。


ただね、せっかく新宿を舞台にしてるのに、ぜんぜん新宿の匂いがしないんです。せっかく新宿っていう「いい舞台」を用意したのに、街並みの描写が全然出てこないし、登場人物もいいひとが集まりすぎてて、緊迫感がほとんどない。
別に新宿じゃなくてもぜんぜんいいんだよね〜って思っちゃう。
同じ新宿二丁目の探偵小説っていうと、桐野夏生の村野ミロシリーズがあるけど、こっちの方が新宿っぽい。
確かに、実際の新宿二丁目とか三丁目って商業地区っていうか飲食店街だから、本当はそんなに怖い街じゃない。だから村野ミロシリーズの方がデフォルメしすぎっていう気がしないでもないけど、街並みの描写や登場人物はこっちのほうが退廃的で「現実味」があるような・・・。


それと、他の柴田よしきの作品とおんなじで、レイプがまた出てくるし・・・この人、ほんとレイプが好きねぇ。


けっこう厚い本なのに二日足らずで読んじゃったんだから、決して面白くないわけじゃない。でもなーんか物足んない。
だから評価は★★★☆☆までかなぁ・・・。