この10年、日本経済はデフレと言われ続けてきました。確かに牛丼は安くなった気がするし、株や土地などの資産の価格は下落しているのでしょう。でも、果たして本当にデフレを実感したことがあまりない気がします。
例えば、不動産価格が下がっているとは言っても、賃貸物件の価格が下がっているという話はあまり聴きません。オフィスの賃貸物件はどうかわかりませんが、一般住居の家賃がバブルのころから下がっているのかと言われるとそうでもない気がします。
家電だと、確かに技術的に陳腐化した商品の価格は著しく低下しています。薄型液晶テレビや普及帯のデジカメなどがその代表例だと思います。でも全体の傾向としては、高機能化によって価格が据え置き、もしくは上昇していると言えます。コストパフォーマンス(価格性能比)でいえば向上しているので、同一性能の製品で比較すれば価格が低下はしているのでしょうけど。
同じことが自動車にも言えると思います。1990年くらいですと、1500ccの3ドアハッチバック車でおよそ120万円くらいだったのに、今の同クラスだと200万円弱します。軽自動車だって90年代はおおむね100万円以下で買えたのに、今では150万円くらいしますよね。もちろん当時と装備の内容が全然違いますから(エアバッグやABSなどの安全装備が増えたり、排ガス規制への対応だったり、燃費を良くする仕組みだったり、軽量化だったり、トランスミッションが高機能化したり)、単純に比較はできないのは承知していますが、うわべの価格だけを取れば値段は上がってると言わざるを得ないでしょう。あたしが社会人になったころ、大衆車の中古に乗ってたのだけど、将来給料が上がっていけば高級車の新車が買えるかもって期待してたのに、その高級車の値段がどんどん上がっていって、今でも手が届かない存在です。それこそ給料が上がる以上のスピードで。昔はクラウンなんて300万円くらいだったんですよ。
スーパーに置いてある商品だって、昔に比べて下がってるとは思えません。相変わらず野菜は高いし、昔も今も牛肉は高級品です。
コンサートのチケットだって、バブル前は3000円くらいだったんですよ。今では5~6000円が当たり前ですもの。高い高い。
こういうのって価格の下方硬直性っていうんでしたっけ?昔、大学で習いました。本来の意味とは違うと思うけど、デフレデフレって言われてるのに、そのデフレの恩恵すら受けてないような気がしてなりません。
11:30追記
そうそう。なんでこんなことを思ったかというと、以前からここに書いてる、パソコンの買い替えを検討しているからです。パソコンの値段はいつまでも下がりません。もちろん性能が大幅にアップしているので価格性能比でいえば、価格は下がってると言えなくもないのですが、価格の安いパソコンや部品は市場から瞬く間に姿を消し、高性能で価格を維持した製品にとってかわられます。ノートパソコンなどはその最たる例で、CPUの性能が上がり、画面解像度も大幅にアップしていますが、値段は相変わらず高止まりです。デフレ下とされているおかげで給料は上がらないので、これでは買い替えなどできるはずもありません。あたしはデスクトップ派、しかも拡張性が高いミドルタワーを好んで使用しますが、ショップブランドのBTOで見積もりを出しても、やはりOS込みで16万円くらいします。今、家で使用している8年落ちのPCも16万円しました。これでもほんとうにデフレと言えるのでしょうか、と思った次第です。