真保裕一さんの「発火点」を一気に読み終えてしまいました。
冒険小説とかミステリーとかのエンターテインメント小説が中心だった真保さんにとってこういう作品は少なくて、「繋がれた明日」くらいしかないんだけど、繋がれた明日はもっとミステリーっぽい作品。
そういう点ではこの「発火点」は、ミステリーっていうよりは、ヒューマンサスペンスって感じだから、真保さんにとってチャレンジ的な作品だと思います。
やっぱり真保さんらしいっていうか綿密な取材やロケハンに裏打ちされた丁寧な文章はさすがっって感じだし、中だるみしそうな長編なのに、主人公敦也の20歳と12歳が交互にいい配分で描かれて、うまく読者を飽きさせないペースは絶妙です。
ネット上のレビュー記事を読むと、あんまり評判がよくなかったけど、わたしにとってこの本は間違いなく今年のベスト1です。今までの読者からすると物足りないのかもしれないけど、それは真保さんの作品はこうでなくっちゃって決めてかかってる人が多いからじゃないのかな?
わたしは真保さんにはもっとこういう作品も手掛けてほしいって思う。
最後は・・・・確かに沼田が敦也の父を殺害した動機が弱いかなぁって思ったけど、物語のテーマは別に犯人探しでも謎解きでもなんでもないんだから、そんなの気にならなかった。
それより、最後の1行。
「なにそれ?」
って思う人もいるでしょうけど、わたしはじ〜〜〜んって来ました。
この感動を、あの坊主頭にも伝えたい。
電話してきてよ。ずっと待ってるのに。
ケータイも持ってなくて、パソ持っててもネットつないでないんじゃ意味ないでしょ。 ( ̄□ ̄*)!