momo☆彡のスタイル。II

Welcome to momo's weblog! Do not hesitate to leave your footprints on this site.

最愛


真保裕一さんの最新作『最愛』を早速買い求めて、一気に読んでしまいました。

最愛
最愛
posted with amazlet on 07.01.29
真保 裕一
新潮社
売り上げランキング: 591
おすすめ度の平均: 3.0
3 ひとりの女の人生をめぐるミステリー


タイトルから恋愛モノだと思ってたら、いざ読んでみるとミステリー小説でした。言うなれば「恋愛長編ミステリー」。
主人公は小児科医の押村悟郎。悟郎は幼いころ両親を交通事故で亡くし、姉・千賀子とは別々の親戚の元に引き取られていました。その姉とも18年間音信普通の状態だったのですけど、警察からその姉が銃で撃たれて意識不明で病院に運ばれたと知らされるのです。姉は暴力団が経営する金融会社の事務所で頭部を撃たれ、その事務所から出火した火災で重度の火傷も負って、生命維持装置で何とか生かされている状態だったのです。しかもそれは姉が婚姻届を出した翌日のことだったんです。その相手、つまり夫・伊吹正典はかつて自分の妻を殺害した過去があり、ずっと行方をくらませているのです。しかも悟郎は姉の家を調べてみると預金通帳に不自然な入出金の記載が見つかりました。いったい姉は何をしていたのか、そしてなぜ事件に巻き込まれたのか、姉が伴侶として選んだ伊吹という男は何処で何をしているのか・・・。
悟郎は姉が抱えていた「闇」を調べ始めます。そしてだんだん明らかになる姉の生活、苦悩、愛しいほど真っ直ぐな性格・・・。
引き取られた先の違いによって不遇な少女時代を送らざるを得なかった姉・千賀子と、姉に申し訳ないという気持ちと姉として慕う気持ちが入れ混じる弟の悟郎。姉は不器用に真っ直ぐに、周囲と衝突しながらしか生きられない姉の姿を知った悟郎は、唯一の家族である姉への想いをますます強めていくのです。
そして最後に事件の意外な真相だけではなく、悟郎と千賀子の意外な関係も明らかにされます。果たして悟郎は最後に重大な決断をするのです。


ミステリーとしても、恋愛小説としても最後の最後に衝撃の事実があり、とても読み応えがありますし、真保さんの作品らしく読みやすくてテンポがよくてスピード感を失いません。
ただ、難をいえば、悟郎は時々「ああ、なんでそんなことに気づかなかったのか」みたいに嘆くことシーンがあるのだけど、捜査はとても素人が調べているとは思えないくらい、とても効率がよく進んでいくのです。最後の結論もよくそんなのに気づくよね〜っていうくらい、わずかな最良から最短距離で真相を見破っちゃう。捜査があっち行ったりこっち行ったりしちゃうと読み手が混乱するだけになるので逆効果なんだけど、こうアッサリ真相にたどり着いちゃうのは淡白すぎるかなっていう気がしたんですよね。この作品はどっちかというとミステリー要素が書きたい本質じゃないのだし、重心をもっと悟郎と千賀子の関係に置いて書いたほうがより物語の重みが増すと思うんですよね。あんまり書くとネタバレになっちゃうのでこの程度にしておきますけど。


で、評価は・・・難しいけど★★★☆☆までにしておきます。あたしは真保さんの作品大好きだから新作が出ると過剰な期待をしてしまう分だけ辛めの評価になっちゃったけど、他の真保さんの作品からするとちょっと物足らない気がしたので・・・。