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あっと驚くギャロップダイナ!


柴田よしきさんの『ラスト・レース―1986冬物語』を読みました。
物語は1986年の秋から冬にかけて。ちょうどバブル真っ盛りで日本全国がカネ・カネ・カネで狂い始めた時期のお話。ちょっとした出来心から思わぬトラブルに巻き込まれてしまった主人公のOL・秋穂と、彼女をレイプしたアイドル崩れの男・島根と自閉症の男・武生の3人がなぜか手を組んで、自分たちを嵌めた犯罪組織に立ち向かっていく物語です。
柴田よしきさんの作品を読むのは、『Close to You』に続いて2作目だけど、Amazonの紹介記事で「レイプ」だなんて書いてある(柴田よしきさんの作品はやたら性犯罪が多いのは気のせい?)から今まで避けてたんだけど、競馬好きのあたしはタイトルが妙に気になってしまって、ついつい買ってしまった。
正直言って、自分をレイプしたクズたちといっしょの空気を吸うのも耐えれないと思うのだけど、連れて真犯人を暴くために行動するなんて考えられない。作者が性犯罪というものをあまり深く考えてないんでしょうか。
それさえ除けば、なかなか面白い作品でした。読んでいくと真犯人はすぐにわかっちゃうけど、武生と秋穂の関係も読み進めていくうちについつい感情移入しちゃうような素敵で奇妙なラブストーリーに仕上がってるし、ミステリーなのにドタバタと人が殺されないところがいい。
物語の最後は1986年の有馬記念のゴール前。ギャロップダイナの単勝馬券とダイナガリバーとの連勝馬券を握り締めてる秋穂と武生の前を、ギャロップダイナが最後の坂を猛然と駆け上がってくるところで終わります。競馬ファンならその結果はもうわかると思うんだけど、その後のふたりの行き先がとっても気になります。オグリキャップの出現で競馬が大ブームになる前の、寂れてちょっと後ろめたいような雰囲気が漂う競馬場の様子があっさりと描かれています。
星、4つです。★★★★




次は、土日に読んだ、森村誠一さんの『黒い墜落機(ファントム)」です。
軍事ミステリーというより、冒険小説。かなり古い作品だし、森村誠一さん独特の自衛隊への見方・・・というか偏見には、かなり嫌気がさしますけど、その部分を抜きにして単純に冒険小説として読めば、かなりのエンターテインメントとして仕上がってると思いますよ〜。
でも、星3つ★★★☆☆までかなぁ。


最後に、荻原浩さんの『オロロ畑でつかまえて』です。

牛穴村というド田舎に住みながら個性いっぱいの青年団と、倒産寸前の零細広告代理店・ユニバーサル広告社が、村おこしを企てるドタバタ・ユーモア小説。この作品は荻原さんのデビュー作で、第10回小説すばる新人賞受賞作です。
本職がコピーライターの荻原さんらしく、各章が広告用語でまとめられてるんだけど、この章のタイトルに解説が書き加えられててこれが面白い。その上タイトルと内容のギャップがまた輪をかけて楽しませてくれるのです。
荻原さんの原点はここにありました。文句なしに★★★★★星5つ!