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意欲作だとは思う:薔薇恋

薔薇恋
薔薇恋
posted with amazlet on 06.07.17
渡辺 容子
講談社 (2001/10)
売り上げランキング: 339,429
おすすめ度の平均: 3.5
1 テーマは良いと思いますが…
5 出会えて良かったね。
3 暴力に負けない・・・心に何かを・・。

渡辺容子さんの作品を久しぶりに読みました。
実は、この本を買ったのはアクシデントだったのです。というのも、新宿に遊びに行く前に寄った本屋さんで2冊の文庫本を買って、そのうちの1冊を持っていったんですけど、それが前買った本だったことがわかって、読む本がなくなったから、途中の乗換駅の駅ビルの中にある本屋さんで、代わりになる本を探してましたんです。
最近はなかなかおもしろそうな本を見つけるのに苦労しちゃってて、平積みの中にも面白そうなのはなく、何かおもしろそうな本はないかなって本棚を左から右へ舐めるようにチェックしてたときに、見つけたのがこれでした。



ドメスティック・バイオレンスとガーデニングというぜんぜん異なるテーマを織り込んだ恋愛小説。
主人公は33歳の専業主婦・杏子。夫のドメスティック・バイオレンスに耐え続ける毎日を過ごす中で、唯一の楽しみのガーデニングに出会い、それがきっかけとなって加茂という雑誌編集者と出会います。
杏子とは次第に加茂に惹かれていき、自我を取り戻していくようになります。その過程は、自分の家の庭の日差しをさえぎる二十数本の木を自分の手で切り落とすこととして象徴として描いています。
杏子にとっての庭は杏子自身の心の象徴であり、結局その庭は夫から与えられたものでしかなくて自分自身のものではない。その庭から離れることができたとき、彼女は本当の自由を求めて一歩踏み出すことができるのです。


異なる難しいテーマを2つも織り込んでうまく1本のラブストーリーとして纏め上げた意欲策です。恋愛小説としてはいいデキだと思うし、杏子と加茂が結ばれるわけでもないから、現実的な終わり方だなって思います。
でも、ちょっとご都合主義のところもあるし、主人公の杏子のセリフがやたら長かったり、加茂のセリフがやたらキザなのはちょっとアレなんだけどね。
渡辺容子さんの作品に共通なんだけど、何でもかんでもそのテーマ、今回ならガーデニングで説明しようとしすぎるから、話に無理が出てきちゃうし、説明が苦しくなる。
それと、毎日の家計簿をチェックされて少しでも無駄遣いが見つかったらひどい暴力を受けるはずなのに、けっこう「無駄遣い」しちゃってんのよね。花の種とかだって決して安いものじゃないはずなのに・・・。


なので評価はちょっと厳しすぎると思うけど、★★★☆☆までとします。