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すべてが中途半端で・・・:当確への布石

当確への布石
当確への布石
posted with amazlet on 07.08.02
高山 聖史
宝島社 (2007/06)
売り上げランキング: 36163
おすすめ度の平均: 5.0
5 選挙にからむ人間ドラマ


2007年の「このミステリーがすごい!」大賞の優秀賞受賞作です。参議院選挙期間中ということもあって買ってみました。
大学講師の大原奈津子は、犯罪被害者救済を政策に掲げて無所属で衆議院の補欠選挙に出馬します。奈津子はテレビのコメンテーターとして人気があり、選挙活動開始当初は順風万班に見えたが、元犯罪者の顔写真や所在等を記したビラを撒いている「凶悪犯罪抑止連合会」という実体不明の団体から推薦状が届くのです。
奈津子はかつての教え子で元公安刑事の平澤に捜査を依頼します。
そんな折、選挙のプロ・森崎や週刊誌記者の井端の存在が奈津子の行く先に暗い影を落とすようになります。
平澤はこの補欠選挙の裏に潜むからくりと、奈津子の過去を知ることとなるのですが・・・・。


選挙の行方、妨害工作の謎、ヒロイン自身の秘密など、様々な要素が織り込まれてはいるのですが、どのお話も表面的なものだけにすぎないし、ミステリーの練り込みもまったく不十分で消化不良! 特に森崎の登場にどうして秘書の清美や奈津子があんなに取り乱したのかも意味不明でした。
あと、選挙運動が生中継されるとか、そもそも選挙期間に過激な報道がされるわけもなく現実感ゼロ。
登場する人物もなんか画一的な感じで魅力を感じませんでしたし、肝心の主人公の奈津子の人物像がぜんぜん定まらないのです。最後の終わり方も「なんなの?」って感じで、すべてが中途半端でつまんない作品でした。


評価は★★☆☆☆が精一杯。
ある意味、「このミス」らしい作品であるといえばあるのですが、選挙をテーマにした作品ってわりと興味があって、期待して買った作品なだけに落胆もひとしおでした。