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荻原さんのサイコチックな本格ミステリーは、とんでもない爆弾でした。


大好きな荻原浩さんの文庫本が発売されたのでソッコーで購入しました。
タイトルは『』。意味深ですよね。


噂
posted with amazlet on 06.03.09
荻原 浩
新潮社 (2006/02)

新製品の香水、ミリエルの販売戦略として採用されたのがWOM(Word of Mouth)、いわゆる口コミ。広告企画会社がある噂を意図的に流します。それは「女の子をさらって足首を切り落とす、ニューヨークのレイプ魔が渋谷に出没。でも、ミリエルをつけている子は狙われない」という根も葉もない噂でした。
レインマンの噂は都市伝説として一人歩きしていくのですが、この噂が現実の連続殺人事件となるのです。でも実際はミリエルをつけてる女性ばかりがレインマンの毒牙の犠牲になっていきます。
この連続殺人事件を追う刑事の小暮と女性刑事の名島は、この連続猟奇殺人事件の犯人像に迫っていこうとするのですが、渋谷の若者のつかみどころのなさにほんろうされて捜査は難航を極めます。
この小暮にはひとり娘の女子高校生の菜摘がいて、そのやり取りがとってもユーモラスでほほえましくて、全体的に不気味な雰囲気が漂う物語にさわやかさとか明るさを与えてくれます。
やがて小暮と名島はようやく、殺害された女性が全員、ミリエルのモニターのアルバイトをしていたことをつきとめ、そのモニターの会場が噂の発信源であることを突き止めます。
そしてレインマンの真の姿に迫っていくのです。犯人は最後の最後で転落死してしまい、事件は解決した・・・・はずだったのです・・・、が。


この本は荻原さんが初めて手掛けたミステリー作品です。
荻原さんらしく、登場人物の会話や描写からは荻原さん独特の味が漂っています。それでもレインマンというおどろおどろしい殺人犯を登場させることで、サイコサスペンスとして、そして用意周到な複線が幾重にも用意して巧みな叙述トリックにも仕上がっています。さらに小暮と名島がレインマンの実像に迫っていく様子は本格ミステリーそのもの。一冊の本にさまざまな楽しみがギュっと詰まっててて、それがとっても高いレベルで調和しています。
とてもじゃないけどはじめてのミステリー作品とは思えません。


圧巻は最後の最後。
たった4文字で、すべてをひっくり返す大どんでん返しが用意されているのです。
この作品の帯に「衝撃のラスト一行に瞠目!」と書かれてます。
よく本の宣伝文句に「衝撃のラスト」とか言ってぜんぜんたいしたことなかったりすることがほとんど。でも「衝撃」どころじゃなかったです。


背筋が寒くなりました。


荻原さんは最後にとんでもない爆弾をあたしたちに取っておいてくれたのです。
まさに、おそるべし、です。


星5つ★★★★★以外の評価はありえません!