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リアルな世界はアンリアル。:リアルワールド

嫌気が差してた桐野夏生さんの『リアルワールド』を読んでみました。


リアルワールド
リアルワールド
posted with amazlet on 06.03.08
桐野 夏生
集英社 (2006/02/17)

母親を殺害して逃亡する男子高校生のミミズと、そのとなりの家に住む女子高校生トシコ。そしてそのともだちのテラウチ、ユウザン、キラリンの4人が登場します。
トシコはクールな子。テラウチは母親の死で心に深い傷を負ってる。ユウザンはレズビアン。キラリンは影でけっこう遊んでていろんな顔を使い分けてる子。
それぞれ、現実にいそうな子が各章に登場しては、それぞれがモノローグで語りかけるようにして物語が進んでいきます。
で、この4人がミミズの逃亡劇に巻き込まれながら、高校生が抱えている悩みとか葛藤とかを描きながら、最後は悲劇的な結末をむかえるというお話です。
ネタバレにならない程度にしておかなくちゃいけないけど、この4人のうち2人が亡くなります。


読んでて思ったのは、確かに登場する1+4人の高校生がそれぞれ考えてることやかなえてる悩みは、とってもリアルなのかもしれないです。
でもね。この5人は現実の中の非現実の世界を求めてもがいてるって気がします。
ただ現実を直視したくないのかな?
大人になりたくない。いつまでも子供のままでいたい。モラトリアムに守られてるのにその自覚がなくて、背伸び・・・・というか、自分が望むありえない世界を求めて、時に破滅に向かって走り出す、そんな危うさや激しさを内側に持ってる。けどそれをさらけ出すのが怖くてクールに「関係ないじゃん」って距離をおいてるふりをする。
だから、彼らの生きるリアルな世界は、わたしたちから見たらとってもアンリアルな世界でしかなくて、逆に彼らにとってはわたしたちの世界にリアリティは感じないんじゃないか・・・・って思いました。


読んでて楽しかったけど、いまひとつ入り込めなかったのは、やっぱり桐野さんが描くリアルワールドを、どうしてもリアルなものとは感じることができなかったから。★★★★☆までとします。
でもオススメですよ・・・。