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またまた競馬ネタなんだけど。:焦茶色のパステル


本日ご紹介するのは(テレビショッピングみたいな書き出しだな)、岡島二人さんの『焦茶色のパステル』です。
岡島二人さん、つまり徳山諄一さんと井上泉さん(現、井上夢人)の共作で、1982年の28回江戸川乱歩賞を受賞した作品。
古い作品ですけど、その中身は決して古くないです。それをそのまま2000年代に置き換えてもまったく通用するお話です。


パステルというのはサラブレッド、つまりお馬さんの名前です。
物語はそのパステルが生まれた牧場で、牧場長と競馬評論家、パステルとその母馬のモンパレットが射殺されるという事件が起きます。その競馬評論家と離婚予定だった妻が、友達の競馬記者といっしょに事件の真相解明に乗り出すと、事件は意外な方向に進んでいきます。で、いったん真相がわかったと思ったら、それは本質ではなくて、最後にどんでん返しがあって、競馬界を揺るがす、とんでもない真相が明るみになります。


さすがこの頃の江戸川乱歩賞の受賞作だけあって完成度がとっても高いです。
いまだにファンの多い岡島二人さんの作品だけあって、途中で中だるみしないで読者をあきさせることなく物語へ引き込んでいってくれます。事件の真実は競馬を知ってれば、じゅうぶんに理解できるものだったし、楽しく読めました。

それに一旦はパステルの血統に関する疑惑を否定しておいて、次に血統を祖父母までさかのぼって疑惑を再浮上させたうえで、最後の最後で決定的な証拠を出すという、ひとひねり、ふたひねりのテクニックは見事です。

ただね、競馬、とくに競走馬の血統についての知識がないと謎解きが多分理解できないでしょうし、実際に競走馬の牧場を見たことがない人にはシーンのイメージがわかないんじゃないかなぁ?
競馬ミステリーってけっこう多いけど、競馬好きでも血統が好きな人にオススメの一冊です。
評価はちょっと厳しいけど、読み手を選ぶという点で、星3つ★★★☆☆までとしときました。