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ユーモア。だけどちょびっとハードボイルド:なかよし小鳩組


前、ご紹介した荻原浩さんの『オロロ畑でつかまえて』の続編・・・って言っても、もう牛穴村は出てきません。

零細広告代理店のユニバーサル広告社が、今度はヤクザの小鳩組のCIを請け負ってしまって、またまたドタバタが始まってしまいます。
今回は主人公の杉山と別れた妻の幸子に引き取られた早苗ちゃんとの心温まる会話により多く文章が割かれています。これに怖いだけじゃなくて個性豊かな小鳩組のヤクザとユニバーサル広告社のメンバーとの楽しいやり取りが物語を盛り上げていきます。
そして、前作よりプライベートで微妙な立場に、仕事では危険な立場に立たされる杉山は、ヤクザと立ち向かいながらも何とか難局を乗り切ろうとします。アル中になりかかってる自分を立ち直らせるためにがんばって、最後は会社のためにからだを張ってがんばる姿は、ちょっとだけハードボイルドって感じ。
最後の七海マラソン(たぶん、青梅マラソンをイメージしてるんでしょうね)のシーンがとっても感動的。もう使命は十分に果たしたのに、自分のためにがんばりつづける杉山と、応援しつづける早苗たち。一度は捨てた自分の夢を追いかけるように先頭を走り続ける勝也。
笑えて、はらはらして、気持ちよく泣ける・・・素敵な作品でした。
どんなにきれいごとを並べたってヤクザは許せないけど、こんな男たちなら、足を洗ってくれたら、お茶ぐらいしてあげてもいいよって。


このあとの著書の『誘拐ラプソディー』とか、『神様からひと言』に通じる、ユーモアいっぱいのちょっとドジなハードボイルド・・・っていう感じの荻原作品の片鱗が見えてきます。


これも文句なしに★★★★★ですぅ!