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いいひとばかり:使命と魂のリミット

使命と魂のリミット
使命と魂のリミット
posted with amazlet on 06.12.14
東野 圭吾
新潮社
売り上げランキング: 151
おすすめ度の平均: 4.5
5 医療サスペンスの金字塔に…
4 ちょうどよい緊張感が最後まで味わえます

大好きな東野圭吾さんの直木賞受賞後の2冊目です。
前回の「赤い指」はレビューでも書いたように期待はずれでした。今回は医療サスペンスっていうことだったので、かなり期待して読み始めました。


主人公は心臓外科医を目指す研修医の氷室夕紀。彼女は手術中の動脈瘤破裂で父を亡くし、その父の死は実は執刀医・西園の医療ミスなのではないかと疑い、その西園が所属する帝都大学病院で研修医として勤めています。西園は夕紀の母と愛し合う仲になっていて、やがて西園が不慮の事故を装って父を亡き者にしたのではないかと考えるようになります。
この夕紀の物語と並行して、穣治という青年が、帝都大学病人に勤務する看護婦の望に近づき、そこに入院する財界の大物・島原の殺害を企てます。
そして島原の手術が始まり、心臓を人工心肺に切り替えたとき、誰も予想し得なかった形で殺人計画が実行されます。
果たして事件は意外な展開をみせ、そして西園も夕紀に、執刀で彼女が抱える疑問に答えようとします。

という具合に、病院内を舞台に過去のしがらみを抱えた人々の思いが複雑に絡みながら、島原の手術の場面で交錯しそこから物語が大きくうねりだすというお話で、サスペンスっていうか、どちらかというと重くないエンターテインメント。
前半はそれぞれの思惑が微妙な距離を保ちながら、適度な緊張感を持たせて、この先どうなるんだろうかってワクワクしながら読んでいたんですけど、肝心の手術当日の場面になると、淡々と読めてしまうっていうか、悪く言ってしまうと緊張感があんまりない感じ。手術の場面ではちゃんとページ数も割いてるし、緊迫した様子をちゃんと描いてるんだけど、その緊迫感が文字としては読めても、読み手のドキドキ感にならないんですよね。
それはなぜかっていうと、出てくる人がみんないいひとすぎるから。悪役がいないから物語が悪い方向に進みっこないって読んでて感じちゃうんです。
重い=暗い=緊張感ってわけでもないとおもうですけど、でもこの作品は重くない=暗くない=緊張感がないっていう感じ。
こういうテイストを狙った作品なのだったらそれは成功してるのかもしれないけど、あたしには正直、物足らなかったな。


というわけで、評価は★★★☆☆。