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横山秀夫さんの本です:臨場


凝ったカバーを見てて、以前からずっと欲しかったのだけど、そのうち文庫本がでるんじゃないのって思って、それを待ってたんです。でもたまたま立ち寄った川越の古本屋で見つけて即買いしたのです。

臨場
臨場
posted with amazlet on 07.01.18
横山 秀夫
光文社
売り上げランキング: 134218
おすすめ度の平均: 4.5
4 物語の裏に潜んだ本当の物語!?
3 面白かった
5 なぜこんなに面白いの


警察組織では、事件現場に臨み初動捜査に当たることを「臨場」っていうんだそうです。その言葉どおり、事件の現場にすぐに駆けつけて現場の状況から事件の捜査の方針を決定する重要な手がかりを見つけることになるのです。そんな事件現場に立ち会う連作短編集がこの本です。
物語のほとんどに登場するのが、「終身検視官」っていう異名をもつ倉石という検視官。彼は辛らつな物言いや横柄な態度で上司からは疎ましく思われているけど、その確かな「眼力」から県警内ではとても信頼されています。うっかりすると見逃してしまいそうな些細なことの中に、大きな真実が隠されていることがある。彼にかかると、遺体や室内に残されたわずかな手がかりや矛盾から、一見事故死でも他殺に、他殺と思われていても自殺にと確実に見抜いてしまうのです。
そんな倉石が現場に立ち向かい、それを鮮やかに解く。それだけじゃなく、辛らつな言い回しの裏側に心遣いがある。だから彼は信頼が厚いんです。


ハードボイルド、警察小説、本格ミステリー・・・この本を修飾する言葉がいっぱい思いつくのだけど、どれも的確じゃない気がします。「この本は横山秀夫さんの本です」っていうのが一番わかりやすいって思います。


厳しい見方をしちゃうと、事件や現場の状況やちょっとできすぎてて作為的な気がしないでもないけど、きっと物語の本質はそこにはないんでしょう。最初のほうの話は、倉石の眼力の鋭さを語るお話だったのだけど、後半のお話はそれよりも事件の背後にある事件当事者の心情とか、そういう点がより強調されてくるのですから。


評価は★★★★☆です。