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切ないラブストーリー。上質のミステリー。:少女達がいた街

柴田よしきさんの『少女達がいた街
舞台は1975年の渋谷です。
主人公のノンノは、親友チアキと渋谷のロック喫茶で過ごす、普通の女子高校生。その渋谷で自分によく似たナッキーと出会います。そして臨時教諭の北浦と恋に落ち・・・、しかしようやく結ばれた北浦はその翌日に爆弾テロで亡くなってしまいます。ショックを受けたノンノは自暴自棄になって、人気女優の息子でロック喫茶で知り合ったカズに身を預けてしまいます。そしてノンノは業火に焼かれてしまうのです。
そして物語は一気に1996年に飛びます。ここからはその火事で助け出されたけど記憶をなくしていた「菅野菜月」が本当は誰なのか、現場にあった2人の身元不明の死体を巡り、陣内刑事の「捜査」が始まります。そして、意外でとても悲しい事件の真相が明らかにされるのです。


前半はそれだけで一冊出版できると思うような、ひとつの完結した青春小説に仕上がっていて、当時の退廃的で、エネルギッシュな若者の文化をうまく描けています。
後半は一転してハイレベルで読み応えのあるミステリー。
前半に登場する人々はほとんど本名は出てこなくて、ニックネームで語られます。これが後半部分に叙述ミステリー的な要素を与えています。ただそれは単に文字の遊びじゃなくて、21年も経った事件を追いかけることのむずかしさを効果的に演出してくれています。
ラストもとても印象的です。



今まで読んだことのない大胆で、斬新で、それなのに完成度が高い作品です。
最近、甘めの得点が多いけど、今回は星5つ★★★★★をあげちゃおうっと。