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ちょっと見直しました:100万回の言い訳

100万回の言い訳
100万回の言い訳
posted with amazlet on 06.06.11
唯川 恵
新潮社 (2006/05)

唯川恵さんの作品って言うと、恋愛しか頭にない「典型的な」OLさんが出てくる時代遅れのラブストーリーしか書かないようなイメージがあって、最近は避けてたんだけど・・・なんとなく買ってしまったら、それまでの印象をいい意味で裏切ってくれました。


結婚して7年がたった30代後半の結子。なんとなく子供を作ってこなかったんだけど、仕事で行き詰まり感があって、仕事や女性としての自分の今後に不安感を抱くようになってきました。それでなんとなく子作りをしようと決断し、いよいよ排卵日になって夫の士郎とセックスをしようと決めていたその日、住むマンションの上の階が火事になってその計画がパーになっちゃっただけじゃなくて、部屋は火事には巻き込まれなかったけど消防車の放水で水浸しになって住める状態じゃなくなってしまいました。やむなく結子は自分の実家に、夫の士郎は独身寮に、一時的に別居状態になってしまいます。
その一時的な別居をきっかけにそれぞれに”事件”が起きるのです。
この二人、その夫婦と平行して未婚の母の志木子、結子の同僚で若い陸人が登場し、4人に視点から物語は進んでいきます。

結子と士郎は独身生活に戻って、それぞれ結婚生活に疑問を抱くようになり、お約束のパターンでお互いに浮気に走ります。結子は陸人と、士郎はマンションのとなりの住民、許子と。
また士郎は志木子を恋愛感情なく仕事の世話をしたり、志木子に身ごもらせて姿を消した男性を探したりします。
物語後半になるとバラバラになってた登場人物の関係が線から面になってきて、最後の最後、4人の目の前に進むべき選択が示されてきます。


全体的に言うと、とっても楽しく読めた一冊でした。読みながら「そうそう」って思う場面がいっぱいあって、どんどんのめりこんでしまいました。
登場人物は比較的多くてごちゃごちゃしがちだけど、4人からの視点で書かれたチャプターを細かく区切ることで見事に整理して描き分けていることはさすがです。
30代後半の結子が抱く不安や焦燥を理屈っぽくなく説明口調でもなくて、結子の視点で主観的に書かれているのですけど、それが押し付けがましくなく、同世代のあたしが日ごろ感じていることをズバリ言い当てられててしまってます。
ただ、結子が伊島に惹かれるのにはあたしはまったく理解できない。もちろんあたしのような歳の女性にとっては、ストレートに「セックスしたい」って言われるのが最高の口説き文句だっていうのは痛いほどわかるけど。


評価は★★★★☆。
あいかわらずの典型的なパターンに突っ込みどころも残ってるけど、女性の心理描写はさすがです。
これまでの唯川恵さんのファンならもちろん、嫌気がさしてきたファンにもぜひお読みいただけたらっておもいます。