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負けるな、あたし。:[]ワーキングガール・ウォーズ[]

ワーキングガール・ウォーズ
柴田 よしき
新潮社
売り上げランキング: 218263
おすすめ度の平均: 4.5
4 働いてる女性なら共感できる
5 明日も元気に働こう!!
3 がんばれ!翔子!


決して「負け犬」じゃないけど、孤独を戦い抜く働く女性のリアルな心情を綴った連作短編集。


主人公は墨田翔子、37歳、未婚、入社15年目、有名企業企画部係長。恋人もなく、部下からの人望もなくって、いわゆる「お局様」。
翔子は生意気な部下との衝突や会社での鬱憤を晴らしに、オーストラリアのケアンズにペリカンを見に行くことを決断、メーリングリストで知り合ったケアンズ在住の日本人と知り合いになります。
この相手は嵯峨野愛美。29歳。短大を卒業して就職した会社をすぐに辞めて海外留学して帰国したものの、どこにも正社員として採用されず、しかたがなく旅行代理店のオーストラリア・ケアンズ事務所の契約社員として働いています。
愛美も相当やさぐれてる女性なのだけど、翔子と愛美はケアンズでのとある出来事をきっかけにとても仲良しになるのです。物語は翔子と愛美の二人のエピソードが綴られながら進んでいきます。
性差別、反発、ねたみ、中傷、セクハラ・・・。働く女性が誰しも経験することだけど、人間そんなに強くない。強がってみたり、弱気になってみたり、甘えてみたくなったり、挫けそうになる自分を励ましてみたり、毎日を生きてる。
当たり前の日常、そんな等身大の女性の心情をリアルに描いているお話です。


彼女たちの口から語られるのは、働く女性の本音そのもの。大げさじゃなく奇麗事でもなく、これがいつわらざる本音。文中に書かれている彼女たちの会話や心の内の言葉がとてもリアルで小気味よくってサクサク読めちゃう。で、読みながらシンパシーがどんどん沸いてきて、「うんうん」ってうなづいて、「負けるな」って応援して、気がつくと自分自身が翔子や愛美になってる。自分自身と重ね合わせ、翔子と愛美への声援は結局、自分自身への声援になってる。だから読み終わるととても元気になってて、爽快な気分になってる。


きっと同じようなテーマの本は多いけど、大げさになったり華やかすぎたりして、同性が読んで鼻持ちならない作品もある(例えば唯川恵さんの作品とかね)。でもこの本に出てくる女性はみなその辺にいる、正真正銘のワーキングガール
同じように働く30代女性を描いた奥田英朗さんの『ガール』もとても面白かったけど、この『ワーキングガール・ウォーズ』もそれに匹敵するくらいの秀作でした。


評価はもちろん、文句なく★★★★★でした。
同年代の働く女性はもちろん、すべてのサラリーマン男性、かつて働いていた主婦の皆さんにも是非読んでほしい、最高の一冊です!