おすすめ度の平均:安定したおもしろさ!でも...
メガバンク・関東シティ銀行で行なわれた不正融資とそれに絡む計画倒産によって、出世コースから一転、失脚させられた銀行マン黒部が、悪事を暴き復讐をするために立ち上がるお話です・・・。
タイトルから連想させるとおり、勧善懲悪モノ。悪代官=銀行の取締役一派と、越後屋=不正融資を受ける企業に対し、黒部=仕置人という図式。痛快銀行ミステリーとでもいうべき内容でしょうか。そういうわかりやすいお話なので、迷うことなく一気に読めてしまいます。
だから面白いことは面白かったんですけど、どうしても許せないポイントがありました。
それは、「銀行マンでなければ人間としての価値がない」とまで言いたげな登場人物たちの態度が、読んでてとても鼻につくのです。「平家にあらずば、人にあらず」じゃないけど、こういう周りを見下した態度が腹立たしいんです。立ち向かうべき行内の敵がそう思っているのはわかるけど、主人公の黒部までがそんな風に思ってるのが文章のいたるところから滲んでくるところがとってもイヤ。
黒部は社内でハメられて出向させられる寸前のところまでいくのだけど、出向したら人生がそこで終わってしまうかのようなことを言うんですね。別に退職でもして他の仕事を探せばいいのだし、なんで自分が銀行員であることにそこまでプライドとこだわりを持つのか、あたしのような平々凡々な会社勤めの人間にはまったく理解できませんし、理解したいとも思いません。
銀行員じゃなくって悪かったわね。いったい何様のつもり?
そんなわけで今回は厳しく、★★☆☆☆までっ!