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え、なにそれ?:追憶のかけら

追憶のかけら
追憶のかけら
posted with amazlet on 06.07.02
貫井 徳郎
実業之日本社 (2004/07)
売り上げランキング: 107,834
おすすめ度の平均: 3.6
4 ミステリーというよりは夫婦愛を描いた作品
5 2つの悪意
3 力作!!!!なのに、オチが…(泣)

ようやく買いました。
ずっと読みたかったんだけど、なぜか縁がなかった本でした。ですので読みたいパワー満タンで、単行本500ページにもなる長編なのに、一気に読んじゃいました(途中、パソコン月刊誌を読んで3日くらい開いたけど)。

あらすじはこんな感じです。
最愛の妻を亡くした国文学専攻の大学講師の松嶋真司の元に、増谷と名乗るものが訪ねてきます。彼は戦後まもなく自殺した無名作家の未発表手記を松嶋に託します。その手記に書かれている内容には謎が秘められていて、増谷はその謎の解明の依頼をし、それが明らかになったら論文を発表してもいいと告げます。松嶋も亡くなった妻の父、麻生教授から疎まれている現状を打破するためにも、その依頼を請け負って謎の究明に動き出します。
しかしその謎は調べていくうちに二転三転し、松嶋にも悪意の罠にはめられていくのです。50年以上前の謎と松嶋を落としいれようとする悪意・・・二つの謎に翻弄され、時々自分を見失いながら松嶋は真相に迫っていきます。
そして最後に意外な真相が明らかになるのです。


小説の中の小説っていうのはよくあるパターンではあるけど、文中話ってするにはもったいないほど、その手記というのがよくできています。これだけでも一冊の本ができるくらい、完成度が高いと思います。
で、手記と現代が交互に描かれていき、一旦真相がわかって、松嶋が論文を発表して、その評判もよく・・・まだページはいっぱい残ってるのにこれからどうなるのかなと思ったら、どんでん返しが起きます。手記が贋作であるという疑いが出てきたのです。誰かが松嶋を罠にはめようとしていることに気づいた松嶋は、その犯人に追いかけようとしますが、そこでまた松嶋を失意のどん底に落とすショッキングな「事実」を知らされます。そこからまた展開が二転三転ていきます。
一冊の長編の中に、佳作ミステリー小説が2本あって、それも叙述トリックも厭味なく使われていて、貫井ワールドの集大成というべき内容に仕上がっています。


だからこそ、最後のオチは残念でなりません。確かに超意外な人物が黒幕だったのだけど、かなり飛躍しています。この程度のことで、想像できないくらいの時間とお金をかけてまで人間の人生を狂わそうとするのかな・・・。
せっかくそこまで完璧なデキだったのに、最後の最後で「な、なにそれ?」っていう感じで終わっちゃったって感じです。


あと妙に気になったのが、同僚の山崎。男性のはずなのに話し言葉が女性。貫井さんのことだからきっと何かある・・・って思ってたら、何にもなくて本当にいい同僚だった(笑)。これって狙ってたのかなぁ。


というわけで、本当にもったいない作品でした。
★★★★☆。文庫本にするときには最後を大幅に書き換えてみてほしいなって思わずにはいられません。