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ビートルズ世代じゃないので:ウランバーナの森

ウランバーナの森
ウランバーナの森
posted with amazlet on 06.07.15
奥田 英朗
講談社 (2000/08)
売り上げランキング: 2,194
おすすめ度の平均: 3.5
5 浄化と再生
5 おもしろくて、心も和む快作
3 ややキツイ


奥田英朗さんの初期の作品。
ジョン・レノンオノ・ヨーコを連想させる主人公が登場し、軽井沢で過ごした日本のお盆の頃に、不思議な体験をするというお話です。
主人公のジョンは、かつて世界の誰もが知ってる超ビッグスターだったのですが、精神を病んで音楽活動を休止し、日本で過ごして数年が経っていました。
ある夏、軽井沢の知人の別荘で過ごしていると、ジョンは過去に荒れた生活をしていて、その過去を夢に見てうなされるようになっていて、それと同時にひどい便秘に悩まされていました。その便秘治療に通っていた病院の帰りに通る森で、既に亡くなっているかつての知人に遭遇することになり、ジョンは自分の過去と向き合うことを余儀なくされました。そしてジョンはつらい過去の真相を知ることになるのです。


お話としてはとてもよくできてると思うし、最後の「再会」のシーンは感動します。ユーモアたっぷりのセリフ回しも最高に楽しい。
でも、やっぱり特定の人物を連想させてしまう本というのはあんまし好きになれない。
あたしはビートルズ世代ではないので正直、ピンと来るものがありませんでしたが、逆にビートルズ世代のみなさんはこれを読んでどう思うのでしょう。
自分たちの憧れのジョンレノンを冒涜すると思ってしまうのでしょうか。
奥田さんがバリバリのビートルズ世代というのは、著書の『東京物語』を読めば明らかなので、意図はわからなくはないんですけどね。

実際にジョンが精神を病んでたのかも日本にいたのかもあたしは知らないけど、フィクションであるなら徹底的にフィクションにした方が逆に奥田さんの持ち味が出たのかも。


と、難癖はつけてるけど、作品のレベル自体は相当に高いです。これだけ高いレベルの作品をあたしたちに届け続けてくれる奥田さんって本当にすごいって思います。
というわけで、評価は★★★★☆。