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乃南先生の意外な一面がわかる「私小説」:二十四時間

二十四時間
二十四時間
posted with amazlet on 07.04.09
乃南 アサ
新潮社 (2007/03)
売り上げランキング: 22517


乃南アサさんの文庫本の新刊です。
タイトルのとおり、24時間の各時刻がタイトルになった短編24本が収められている短編集なのですが、主人公はすべて乃南アサ先生。つまり乃南先生が各時刻にまつわる思い出を綴った「私小説」の形式の本なのですが、私小説というよりエッセイに近いかなぁって思わせるような作風です。
小さいころの思い出、ちょっと生意気な高校生のころの思い出、OL生活のころの思い出、旅行の思い出など、乃南先生のプライベートな面とか、意外におっちょこちょいだったり、猫舌だったり、等身大な乃波先生を感じるとことができます。
乃南先生のファンにとってうれしいのは、人気作品の執筆のエピソードやヒントになった場面がいろいろ描かれていることです。「八時」はきっと直木賞作品『凍える牙』に出てくる疾風という狼犬のモデルにするための取材の前日のお話でしょうし、OL時代のエピソードを書いた「十二時」は『パラダイス・サーティー』などのオフィスの風景の題材になっているんでしょうし、高速バスでの長距離移動を描いた「六時」は『再生の朝』のヒントになっているんじゃないのかなぁって思いながら読んでみると、面白さも数倍です。


子供のころの乃南先生の思うことって、やっぱりあたしたちとおんなじだったんだなぁ。ずる休みをしてみたかったり、知らない道を選んでみたり、電車のストが始まるのをワクワクして待っていたり、「あ〜、あたしと同じじゃん」って思わずにんまり、くすりと笑い、そしてタバコに火をつけてページを閉じます。そんな楽しいことが24回もできてしまうのだから、とても効率のよい本だったりします。


乃南ファンは必読の一冊です。★★★★☆。